大脳生理学から見たストレスが起こる仕組み
ストレスマネジメント① ~ストレスとは?~で学んだ通り、
ストレスは外部からの刺激に対して生じる心身の反応。
良いストレスと悪いストレスがあり、バランスをとるとストレスを感じない。
人によってストレスの感じ方も心身への出方も違うから、自分のストレスについてちゃんと知ることが大切。
など、ストレスについては段々分かってきました。
上記の図は脳の断面図になります。
ストレスが起こる仕組みを大脳生理学の視点から見ていきたいと思います。
心の葛藤がストレスを生む
簡単に言うと、心の葛藤がストレスを生みます。
例えばダイエットをしたとします。
大脳新皮質=理性
が痩せるためには食べるのを我慢しないと!と言います。
しかし
大脳旧皮質(大脳辺縁系)=本能
が食べたい、我慢は嫌だ!と言います。
我慢しなさいvs 食べたい!
この「理性」と「本能」の葛藤が、
大脳新皮質と大脳旧皮質の間にノイズを発生させるのです。
脳は自律神経に信号を送りますが、葛藤でノイズが生まれると、
そのノイズまで一緒に信号を送ってしまいます。
そうすると、自律神経が正確な情報を受け取れなくなり、
自律神経が正常に機能しなくなります。
自律神経の役割
自律神経は何をしているのかというと、身体を調整しています。
身体の調子が最も良くなるように自動的に調整してくれているのです。
毛穴を開いたり閉じたりして温度調節をしたり、
胃液を出したりして消化を助けます。
だから、自律神経が正常に機能しなくなると、
温度調節が出来なくなり、風邪を引いてしまったり、
胃液を出しすぎて胃に穴があきます。
ストレスで胃潰瘍になるというのはこういうことなのです。
ストレスが問題というのは、自律神経が乱れてしまうからなのです。
ですので、ストレスを生む心の葛藤を無くすか、対処が必要になってきます。
交感神経と副交感神経
そして、自律神経は交感神経と副交感神経の二つに分けられます。
交感神経は緊張したり、身体を活発に動かしている時に働く神経です。
副交感神経はリラックスしたり、身体がゆったりしている時に働く神経です。
この二つの神経がシーソーのように交互に働きます。
一方の神経が働いている時にはもう一方の神経はお休みとなります。
健康な人は、昼間の疲れも夜の睡眠でしっかり回復しているなど、二つの神経のバランスが良いので元気なのです。
現代社会は自律神経が酷使されている
健康には交感神経と副交感神経のバランスが取れていることが必要なのですが、現代社会はどうでしょう?
例えば、暑い夏。
あなたは自律神経になったつもりで聞いて下さい。
(暑いときには毛穴を開き、寒いときには毛穴を閉じます)
暑いから冷房をかけて寝たら、翌朝、冷房の効き過ぎで寒い状態で目が覚める。
寒いからお風呂に入って温まる。
お風呂からでると涼しい部屋。
それから用意をして外に出ると猛暑。
満員電車に乗ると冷房が効いていて寒いくらい。
外に出て会社までは猛暑。
会社に着くと冷房が効いて涼しい。
このように、自律神経は大忙しです。
そして満員電車では緊張状態。
会社でも緊張状態。
休む暇もなく、食事もかけ込んで食べる。
お風呂も浸からずにシャワーで済ます。
寝る前もTVやスマホを見て興奮状態。
寝落ちして電気を付けたまま寝てしまう。
現代人は交感神経が働いてばかりで、リラックスの神経、副交感神経がほとんど出てこないのです。
こんな生活を毎日続けていると、自律神経はずっと酷使されている状態でおかしくなってしまいます。
ただでさえ、自律神経に負荷がかかりやすい現代社会に、ストレスが加わったらもう大変です。
自律神経失調症になってしまうのもこの仕組みから見れば当然の結果なのです。
まとめ
「理性」と「本能」のこころの葛藤がストレスを生みます。
そしてそのストレスは自律神経を狂わせるので、身体の調整が効かなくなります。
それにプラスして、現代は自律神経が酷使され、リラックスすることがあまりないので、
心身はどんどん疲れ、自律神経失調症になってしまいやすいのです。
ストレスが起こる仕組みと現代社会の生活が身体(自律神経)にどんな影響を及ぼしているかを知る必要があります。
そして、対処することが大切なのです。
対処についてはストレスマネジメント③ ~ストレスの対処方法~でお伝えしたいと思います。
ストレスについてはストレスマネジメント① ~ストレスとは?~をどうぞ。
うつ専門カウンセラー林真路